Q&A

エドルミズ

ご利用にあたっての注意

医療機関の先生方からよく寄せられる弊社製品に関する質問とその標準の回答をご紹介しています。
これらの内容は、製品の適正使用にあたっての参考情報です。
医薬品の使用は、個々の患者さんの状況に応じて、専門的知識を有する医療従事者にご判断いただくことを想定しております。
詳細内容のご確認は、弊社の医薬情報担当者(MR)またはくすり相談室までお問い合わせください。
なお、製品のご使用にあたっては、最新の電子添文をご確認ください。

効能・効果

本剤の効能又は効果は下記の通りです。

  • 下記の悪性腫瘍におけるがん悪液質
    非小細胞肺癌,胃癌,膵癌,大腸癌
出典:
エドルミズ電子添文2023年2月改訂(第2版)

効能又は効果に関連する注意として、下記項目が設定されています。

  • 6ヵ月以内に5%以上の体重減少と食欲不振、かつ以下の①~③のうち2つ以上を認める患者に使用すること。
    1. ① 疲労又は倦怠感
    2. ② 全身の筋力低下
    3. ③ CRP値 0.5mg/dL 超、ヘモグロビン値 12g/dL 未満又はア ルブミン値 3.2g/dL 未満のいずれか 1 つ以上
出典:
エドルミズ電子添文2023年2月改訂(第2版)

用法・用量

本剤の用法及び用量は下記の通りです。減量はお勧めいたしかねます。

  • 通常、成人にはアナモレリン塩酸塩として 100mg を 1 日 1 回、空腹時に経口投与する。
出典:
エドルミズ電子添文2023年2月改訂(第2版)

添付文書上、特に規定はされておりませんが、空腹時で服用後1時間は絶食するようにお願いしています。臨床試験では、朝食の1時間前で規定して実施していました。
服用は、臨床試験と同様、原則朝食前をお勧めしています。

出典:
エドルミズ電子添文2023年2月改訂(第2版)

水は飲んでいただけますが、ジュースは食事と同様に血中濃度に影響を与える可能性があるので控えてください。水、白湯以外の飲み物で服用することはお勧めしません。

出典:
エドルミズ電子添文2023年2月改訂(第2版)

本剤投与により体重増加又は食欲改善が認められない場合、投与開始3週間後を目途に原則中止することとなっています。また、12週間を超える本剤の投与経験はないため、体重、問診により食欲を確認する等、定期的に投与継続の必要性をご検討ください。

出典:
エドルミズ電子添文2023年2月改訂(第2版)

副作用・安全性

本剤の禁忌は下記の通りです。

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  2. 2.2 うっ血性心不全のある患者[心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。]
  3. 2.3 心筋梗塞又は狭心症のある患者[心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。]
  4. 2.4 高度の刺激伝導系障害(完全房室ブロック等)のある患者[本剤はナトリウムチャネル阻害作用を有するため、刺激伝導系に対し抑制的に作用し、悪化させるおそれがある。]
  5. 2.5 次の薬剤を投与中の患者:クラリスロマイシン、イトラコナゾール、ボリコナゾール、リトナビル含有製剤、コビシスタット含有製剤、エンシトレルビル フマル酸[10.1 参照]
  6. 2.6 中等度以上の肝機能障害(Child-Pugh分類B及びC)のある患者[本剤の体内からの消失には主に肝臓が寄与しているため、血中濃度が上昇し、刺激伝導系抑制があらわれるおそれがある。][11.1.1 参照],[16.7.2 参照]
  7. 2.7 消化管閉塞等、消化管の器質的異常による食事の経口摂取が困難な患者[5.4 参照]
出典:
エドルミズ電子添文2023年2月改訂(第2版)
  1. ● 本剤は、ナトリウムチャネル阻害作用を有するため刺激伝導系に抑制的に作用します。本剤投与により心電図異常(顕著なPR間隔又はQRS幅の延長、QT間隔の延長等)があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び投与期間中は、心電図、脈拍、血圧、心胸比等を定期的に測定するようお願いします。なお、本剤投与初期には特に注意してください。
  2. ● 高血糖があらわれることがあるため、本剤の投与開始前及び投与期間中は定期的に血糖値や尿糖の測定を行っていただくようお願いします。
  3. ● 肝機能障害があらわれることがあるため、本剤の投与開始前及び投与期間中は定期的に肝機能検査を行っていただくようお願いします。
出典:
エドルミズ電子添文2023年2月改訂(第2版)

本剤の発がんリスクについて、以下の試験結果並びに文献情報があります。

  1. ① 本剤は遺伝毒性を示さず、26週間反復投与毒性試験においても発がん性を示唆する増殖性変化も認められませんでした。
  2. ② 非小細胞肺がん患者を対象とした国内第II相試験(ONO-7643-03及びONO-7643-04)及び海外第III相試験(HT-ANAM-301及びHT-ANAM-302)の転帰を調査した結果、死亡までの時間の分布に投与群間で有意差は認められず(<ONO-7643-03> log-rank 検定:50 mg 群 p=0.7010,100 mg 群p=0.0864、<ONO-7643-04>log-rank 検定:p=0.3762、< HT-ANAM-301及びHT-ANAM-302>log-rank 検定:p=0.4691)、腫瘍の総合評価における腫瘍の増悪率(RECISTで進行[PD]の割合)は以下のとおりであり、本剤投与による腫瘍増殖は認められませんでした。

表53 本薬を12週間経口投与したときの総合結果における腫瘍の増悪率a)

国内第 II 試験
(ONO-7643-03)
国内第 II 試験
(ONO-7643-04)
海外第 III 試験
(HT-ANAM-301)
海外第 III 試験
(HT-ANAM-302)
プラセボ群
(58 例)
本薬 100 mg 群
(55 例)
プラセボ群
(90 例)
本薬 100 mg 群
(83 例)
プラセボ群
(161 例)
本薬 100 mg 群
(320 例)
プラセボ群
(161 例)
本薬 100 mg 群
(330 例)
42.1(24/57 例) 41.8(23/55 例) 63.5(47/74 例) 56.7(38/67 例) 20.9(14/67 例) 24.5(35/143 例) 32.6(14/43 例) 24.8(26/105 例)

a) 固形癌の効果判定規準(RECIST)のカテゴリー分類のうち、PD(progressive disease)に該当した症例の割合%(該当例数/評価例数)

出典:
小野薬品工業:国内第Ⅱ相(ONO-7643-03)試験成績(社内資料)承認時評価資料
Takayama K, et al. Support Care Cancer. 2016; 24(8): 3495-3505.
[利益相反]本研究は小野薬品工業の支援により実施された.なお本論文の著者のうち2名は小野薬品工業の社員である。
小野薬品工業:国内第Ⅱ相(ONO-7643-04)試験成績(社内資料)承認時評価資料
Katakami N, et al. Cancer. 2018; 124(3): 606-616.
[利益相反]本研究は小野薬品工業の支援により実施された。なお本論文の著者のうち2名は小野薬品工業の社員である。
小野薬品工業:海外第Ⅲ相(HT-ANAM-301/302)試験成績(社内資料)承認時評価資料
Temel JS, et al. Lancet Oncol. 2016; 17(4): 519-531.
[利益相反]本研究はヘルシン社の支援により実施された.なお本論文の著者のうち3名はヘルシン社の社員である。
小野薬品工業:その他の薬理試験 腫瘍の増殖に対する作用(社内資料)承認時評価資料
小野薬品工業:反復投与毒性試験(社内資料)承認時評価資料
小野薬品工業:遺伝毒性試験(社内資料)承認時評価資料

添付文書上、特に制限はしていません。
国内第III相臨床試験(05試験)では、消化管切除術歴が有の患者さんは35例(安全性解析症例50例中)となっていました。(個別症例結果については公開していません。)

出典:
小野薬品工業:国内第Ⅲ相(ONO-7643-05)試験成績(社内資料)承認時評価資料
Hamauchi S, et al. Cancer.2019; 125(23):4294-4302.
[利益相反]本研究は小野薬品工業の支援により実施された。なお本論文の著者のうち2名は小野薬品工業の社員である。

薬物動態・薬効薬理

本剤は、グレリン受容体である GHS-R1a(成長ホルモン放出促進因子受容体タイプ 1a)に対する作動作用を有します。本剤は、GHS-R1a の活性化を介して成長ホルモン(GH)の分泌を促進し食欲を亢進することで、体重を増加させることが期待できます。

出典:
エドルミズ電子添文2023年2月改訂(第2版)

本剤は、グレリンと同様に、膵臓からのインスリンの分泌を抑制する作用があるため、高血糖が生じると考えられます。また、GH(成長ホルモン)によるインスリン抵抗性の惹起や、がん悪液質そのものの病態にあるインスリン抵抗性、食欲増進に伴う食事量増加など、これらが総合的に関与しているとも考えられます。

出典:
Heppner KM, Tong J. Mechanisms in endocrinology: regulation of glucose metabolism by the ghrelin system: multiple players and multiple actions. Eur J Endocrinol. 2014;171:R21-32.
Chabot F, Caron A, Laplante M, St-Pierre DH. Interrelationships between ghrelin, insulin and glucose homeostasis: physiological relevance. World J Diabetes. 2014;5:328-41.

ステロイドとの併用に関して、添付文書上に併用の制限はありません。

その他

患者さんの体重増加(Add)、光を照らす(Illuminate) 薬として「エドルミズ/ADLUMIZ」と命名しています。

エドルミズ国内第Ⅱ相試験(ONO-7643-04)の患者背景は下表のとおりです。
試験の詳細は、下記リンクを参照ください。
https://www.ono-oncology.jp/medical/products/adlumiz/trial/04_study

患者背景

  エドルミズ群(N=84) プラセボ群(N=90)
年齢,歳 中央値
(最小値~最大値)
69
(39~84)
67
(41~83)
性別, n(%) 男性
女性
59(70.2)
25(29.8)
57(63.3)
33(36.7)
平均体重±SD, kg 52.23±9.43 49.73±8.32
平均BMI±SD, kg/m2 19.81±2.60 19.27±2.31
過去6ヵ月以内の
体重減少, n(%)
5%以上10%以下
10%超
欠測
50(60.2)
33(39.8)
1
52(57.8)
38(42.2)
0
身体組成データ±SD
(DEXA法), kg
平均LBM
平均脂肪量
38.88±7.06
11.29±5.04
37.06±6.34
10.68±4.21
ECOG-PS, n(%) 0
1
2
欠測
9(10.8)
64(77.1)
10(12.0)
1
13(14.4)
65(72.2)
12(13.3)
0
平均QOLスコア±SD,点 QOL-ACD
QOL-ACD 質問8
74.9±13.0
3.0±1.0
70.9±13.0
2.9±1.1
NSCLC組織型, n(%) 腺癌
扁平上皮癌
大細胞癌
腺扁平上皮癌
その他
不明
65(77.4)
14(16.7)
1(1.2)
2(2.4)
1(1.2)
1(1.2)
71(78.9)
16(17.8)
0
0
1(1.1)
2(2.2)
病期, n(%) IIIA
IIIB
IV
再発
3(3.6)
6(7.1)
49(58.3)
26(31.0)
1(1.1)
11(12.2)
60(66.7)
18(20.0)
治験薬投与期に行われた
がん治療, n(%)
化学療法
EGFR-TKI
放射線療法
緩和治療
不明
64(76.2)
23(27.7)
7(8.3)
18(21.7)
1
70(77.8)
29(32.2)
6(6.7)
19(21.1)
0
治療レジメン数, n(%) 0
1
2
3以上
2(2.4)
20(23.8)
19(22.6)
43(51.2)
(2.2)
31(34.4)
18(20.0)
39(43.3)

解析対象集団:RND SD:標準偏差
EGFR-TKI:上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害薬

出典:
小野薬品工業:国内第Ⅱ相(ONO-7643-04)試験成績(社内資料)承認時評価資料
Katakami N, et al. Cancer. 2018; 124(3): 606-616.
[利益相反]本研究は小野薬品工業の支援により実施された。なお本論文の著者のうち2名は小野薬品工業の社員である。

エドルミズ国内第Ⅲ相試験(ONO-7643-05)の患者背景は下表のとおりです。
試験の詳細は下記リンクをご参照ください。
https://www.ono-oncology.jp/medical/products/adlumiz/trial/05_study

患者背景

  エドルミズ群(N=50)
年齢,歳 中央値
(最小値~最大値)
66.5
(49~88)
性別, n(%) 男性
女性
30(60.0)
20(40.0)
平均体重±SD, kg 50.71±8.63
平均BMI±SD, kg/m2 19.52±2.76
過去6ヵ月以内の
体重減少, n(%)
5%以上10%以下
10%超
欠測
26(53.1)
23(46.9)
1
身体組成データ±SD
(DEXA法), kg
平均LBM
平均脂肪量
37.05±6.60
11.62±4.71
ECOG-PS, n(%) 0
1
2
欠測
11(22.4)
33(67.3)
5(10.2)
1
平均QOLスコア±SD,点 QOL-ACD
QOL-ACD 質問8
75.0±14.1
2.8±1.1
がん腫, n(%) 大腸癌
胃癌
膵癌
40(80.0)
5(10.0)
5(10.0)
病期, n(%) 大腸癌
  IIA
  IVA
  IVB
  
IIIB
  IV
  術後再発
膵癌
  III
  IV
 
1(2.5)
4(10.0)
14(35.0)
21(52.5)
 
1(20.0)
3(60.0)
1(20.0)
 
2(40.0)
3(60.0)
治験薬投与期に行われた
がんに対する治療の有無, n(%)
なし
あり
9(18.0)
41(82.0)
治療レジメン数, n(%) 0
1
2
3以上
0
14(28.0)
16(32.0)
20(40.0)

解析対象集団:ENR SD:標準偏差
※ 各がん腫の被験者数を分母とした.

出典:
小野薬品工業:国内第Ⅲ相(ONO-7643-05)試験成績(社内資料)承認時評価資料
Hamauchi S, et al. Cancer.2019; 125(23):4294-4302.
[利益相反]本研究は小野薬品工業の支援により実施された。なお本論文の著者のうち2名は小野薬品工業の社員である。

詳細内容のご確認は弊社医薬情報担当者
(MR)またはくすり相談室まで
お問い合わせください。

小野薬品工業株式会社 くすり相談室
電話番号 0120-626-190
FAX:
06-6263-5806

受付時間は9:00~17:00となっております(土日・祝日・会社休日を除く)。当社くすり相談室へのお問い合わせにつきましては、内容を正確に把握し、適切に回答等をさせていただくため、お電話を録音させていただいております。あらかじめご了承ください。電話番号はお間違いのないようお願いいたします。